2005年06月12日

ある女性の死

昨夜(2005/6/6)、退社後、お通夜に行ってきました。
故人は、私が新卒で某メーカーに入社したときの最初の配属先の先輩です。
享年58歳。早すぎる死でした。
死因は胃がんです。気が付いたときはすでに手遅れでした。

彼女は高卒で入社後、勤務の傍ら大学の夜間に通い、無事卒業した頑張り屋です。
経理部員でしたので、税理士試験にも挑戦し、数科目クリアしていたと伝えられています。
魅力的な女性でしたが、結局独身を通しました。
その間両親を次々に失い、一人娘だった彼女には、寂しい晩年となりました。

しかし向学心に溢れ、在職中から通勤の途中、ラジオの英会話を聞いたりしていた彼女は、母親を失って天涯孤独になった後、50歳を過ぎてから、会社を退職し、なんと大学院へ進んだのです。専攻は経営学でした。
死去したときは、博士課程に在学中の身でした。
彼女の遠いまなざしの先に、何が見えていたのでしょうか。

お通夜には昔の同僚が驚くほど大勢参集し、まるで職場の同窓会のようでした。彼女の在職中の人気がしのばれます。
散会後、私を含む3人が残り、その中の一人、今年63歳のH氏の提案で、棺の一部を開いて故人の顔を、もう一度よく見て拝むことにしました。
痩せこけているかと思っていたら、そうでもなく、実にきれいな、穏やかな顔でした。
その分、死が急だったことを忍ばせます。

H氏は、就職している長男と大学生の長女と奥様の4人暮らしで、家族をこよなく愛するとっても優しいかたです。
その彼が、呟きました。
「オレは昔、彼女にプロポーズして振られたんだ」

棺には、おそらく彼女にとって最も大切なものだったと思われる、修士号の学位証が収められていました。

                                 (以上)  

Posted by smily2005 at 12:28Comments(0)TrackBack(0)